ウラシマ・エフェクト

竜宮城から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。日欧ブログ……?

チェコ語

イジー・メンツルによる架空の村

アカデミー賞監督、イジー・メンツルが亡くなった。享年82。数年前に、髄膜炎の手術がかなり大がかりだったと伝えられていたから、その後の容態が案じられてはいた。 1938年プラハ生まれ。1962年にアカデミーの映画学部"FAMU"を卒えると、やがてチェコスロヴ…

馬鈴薯の味わい

photo by Rita E 新じゃがのおいしい季節である。 ここ数年のお気に入りは、青椒土豆絲(チンジャオトゥードウスー)。細く切った薯をしばらく水に晒しておくのは、不可欠の工程である。たっぷりの豚脂か鶏油で炒めて、唐辛子と鶏がらスープの素をもちいるの…

チェコ語におけるドイツ語からの借用語

さいきん、Kurzarbeitというドイツ語がスラヴ語圏のメディアにあらわれるようになった。直訳すれば「短い労働」ではあるが、コロナ禍の影響で、賃金労働者の勤務時間が短縮されて稼ぎが減った分を、雇用主が解雇しないことを条件に国が補填するような仕組み…

ハムスター三点盛り

photo by bierfritze 1) 捨てハムスター 2) ハムスター買い 3) ハムスター氏、the オンブズマン 1) 捨てハムスター イングランド北部・ダーリントンで、ゴールデン・ハムスターが18匹、ロボロフスキー・ハムスターが2匹、散歩中の犬によって発見された。3月3…

灰の水曜日とコロナ禍

ことしは2月26日が「灰の水曜日」であった。イースターから46日前の水曜日を指している。ブラジルなどをのぞけば、公休日になっている国はあまりないが、カルネヴァルの終わりも意味するなど、文化的にはなかなか大きな節目ではある。 ふるくは灰をかぶる習…

コンビニ考

photo by Duy Nguyen コンビニ大手・セブン&アイHDが、米石油精製会社マラソン・ペトロリアムとM&Aの交渉をしているという報道があった。何のことかと思ったけれど、ガソリンスタンド事業の買収というから合点がいった。 今は昔、20世紀の終わりの頃、ドイツ…

ヴァーツラフ・ハヴェル小路

ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』が、NHKの『100分de名著』に取り上げられ、第一回目が2020年2月3日に放送された。視聴率もなかなかよかったという噂で、意外にも日本人のハヴェルにたいする関心は高いものとみえる。2011年12月に逝去した直前に…

オッカムの剃刀 と"částice"

photo by Thomas Breher 先ごろ、英独の研究者らが、複数の原子が結合して分子になる様子を撮影することに成功した旨の報道があった。カーボンナノチューブに閉じ込めて運動を抑制した金属原子を、透過型電子顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いることで、18秒に…

チェコ語はむずかしい言語か

photo by Wojtek Witkowski チェコ語はむずかしいのか──とあらためて訊かれてみると、応えに窮した。もし、B1レヴェルの試験に受かるには学習時間がどれだけ要るのか、というような具体的な問いであったらば、なんらかの数字を示すことができよう。だが、「…

KOH-I-NOORの鉛筆とヴェルサティルカ

"Versatilky", KOH-I-NOOR 共産とは名ばかりの中国に尻尾を振っていた欧州企業も、このところの米中経済戦争激化のあおりもあって、かの地の景気が減衰するなか、戦略の見直しをせまられている。なかでもオーストリア航空が、中国路線に機材を振り向けるため…

テンノー、日本のカイザー? 即位礼正殿の儀

10月22日、即位礼正殿の儀が執り行われ、皇室や日本の文化に注目が集まる機会になった。外国メディアでも盛んに報じられたのは、日本の報道機関のつたえるとおりである。 ところで、日本の天皇をエンペラーEmperorと呼ぶのはおかしい──という議論をふっかけ…

南アは、チェコ語でも一語でいえない件。

ラグビー・ワールドカップで、南アフリカに注目していたところ、むかしチェコの大学で、南アフリカの演劇文化についての講義を受けたことを思い出した。内容はほとんど頭に残っていないが。 講師は、かのペトル・オスルズリー教授。日本での知名度となるとく…

狡兎死してクルド烹らる──中欧ファストフード事情から

Photo by Nathalie Dulex ケバブ。旅行の際など、お世話になった向きも多いであろう、ドネル・ケバブ── 大戦後の西ドイツでは、労働力不足からトルコ人移民が歓迎された。結果、ケバブといえば、カリーヴルストやポムス・ロート・ヴァイスなどのB級グルメと…

カレル・ゴット逝去。Gott ist tot...

10月1日の夜遅く、チェコ共和国の国民的歌手、カレル・ゴット(Karel Gott)が亡くなった。80歳だった。2016年から急性白血病を患っており、2019年9月に闘病を公表したばかりだった。 現代チェコ語会話で、人名「カレル Karel」にたいする定型の愛称たる「カ…

レイモンドと井上の群馬音楽センター

数年前の秋、西ボヘミアはプルゼニュを訪れたとき、駅前のバス停に突として現れたのは、《高崎白衣大観音》であった。──それは日本の文化に焦点をあてた交流行事を知らせるポスターであったが、プルゼニュ市にとって日本といえばまず、いわゆる姉妹都市協定…

ボヘミヤの伍長?

ボヘミアの伍長──というのは、ときのドイツ国大統領パウル・フォン・ヒンデンブルクが、アードルフ・ヒトラーをさしていった表現だという。人口に膾炙した謂いである。──しかし、ヒトラーは伍長でもなければ、ボヘミア生まれでもなかった。 こういった場合、…

コクヨの独善とぺんてるの憤慨

ヴィエトナムで自動二輪車全般が「ホンダ」と呼ばれることは、よく知られている。ほかのメイカーをさしおいて、ホンダの製品がひろく親しまれてきた証左といえる。 チェコ語の口語表現には、"pentelka(ペンテルカ)"という語があって、ぺんてるの製品ないし…

だめだコリャ。

チェコ語で「ズムルズレー・ラメノzmrzlé rameno」。ドイツ語では、英語からの借用で「フロウズン・ショールダーFrozen Shoulder」という。つまり、ヨーロッパ諸語ではたいてい「凍った肩」という謂いをするようだが、要は、日本語でいう五十肩、あるいは四…

よんどころなき事情にうってつけの日

夏至は過ぎたとはいえ、日はながい。 アルプス以北のヨーロッパは、じつに北海道の北端より緯度が高く、廃止予定のサマータイムもことしはまだ健在だから、夜9時を過ぎてもなお明るい。──そこで10時まで開いているはずの、フィットネス・ジムに向かったわけ…

令和前夜のチェコスロヴァキア

チェコ共和国にいて、地方の飲み屋で令和を迎えることになった。明くる5月1日はメーデーの祝日である。 平成が最後の数分をむかえるころ──といっても、むろん日本時間ではない。日本ではとっくに令和になっていて、宮内庁職員がおそらく徹夜で準備した儀式が…