ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

歳時記

シンデレラたちと成長の神話

photo by Alain Audet 2019年末に目を瞑って、ふたたび目を開けたら、2022年元旦だった──というインターネット・ミームがある。まさにそれ。ここ2年間の記憶が、なんだか曖昧な感じだ。 それだから、おおくのひとが節目を実感できる行事や娯楽を欲したのでは…

クリスマスには鯉(2)

クリスマスは、異教の冬至の祭りに由来する。ジェイムズ・フレイザーなどを読むと、そういうことが延々と論証されている。のち、それをキリスト教会が採り込んだものであると。 中部ヨーロッパにおいて、クリスマス・ディナーのさいに鯉をたべる慣らいがある…

緑のパプリカ

photo by outside click 夏のウィーンだった。屋号に「台灣」の文字がはいった飲食店があった。けれども、お品書きの顔ぶれは台湾料理というのとは異なっていた。かわりに地方にかかわりのない、無難な中華風料理が並んでいた。 それで「台湾のかたですか」…

アリヲリ食めり。ニンニク泥棒とニラハウスの夏。

photo by Carissa Gan 「ペペロンチーノ」と呼ぶのが一般的だと思っていたけれど、「アリオリ」という造語をつかっているレシピ本があったから、そこから拝借した。アリオリのほうがいい。語呂がいい。 いずれにせよ略記しないと、長すぎる──アッリォ、オー…

鳥の歌

photo by Šárka Krňávková 明治期の紀行文といえば、日本文明を学ぶものにとって最重要のジャンルのひとつとなっている。日本に生まれた者はわざわざ日本人になる必要がないから、日本文化の知識が要らないと安吾は嘯いたが、ふだん意識されないことを他者の…

エピファニー

客席から手拍子がきこえぬ「ラデツキー行進曲」では、新年が明けた気がしない。 元日といえばウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で、まいとしほろ酔いのあたまでノイヤールコンツェアトを聴くのが習慣である。といっても高価なチケットを入手して出かけるほ…

灰の水曜日とコロナ禍

ことしは2月26日が「灰の水曜日」であった。イースターから46日前の水曜日を指している。ブラジルなどをのぞけば、公休日になっている国はあまりないが、カルネヴァルの終わりも意味するなど、文化的にはなかなか大きな節目ではある。 ふるくは灰をかぶる習…

クリスマスには鯉

photo by Jiří Fröhlich 鯉をクリスマス・イヴの食卓に供する習慣は、戦間期に一般に普及した、というのが通説らしい。現在までその文化の広がる領域は、かつての大ドイツ主義を偲ばせる。すなわち現在のドイツ、オーストリア、チェコ、ポーランド、ハン…

聖マルティヌスの日

明日は鴨たべるのか──と、時候の挨拶のつもりで訊いたが、ばかな間違いをしでかしたことに気づかなかった。 質問された友人は、なんのことかとしばらく思案したのち、「カモ(kachna)じゃなくて、ガチョウ(husa)だろ」といった。大笑いした。寒くなってき…

よんどころなき事情にうってつけの日

夏至は過ぎたとはいえ、日はながい。 アルプス以北のヨーロッパは、じつに北海道の北端より緯度が高く、廃止予定のサマータイムもことしはまだ健在だから、夜9時を過ぎてもなお明るい。──そこで10時まで開いているはずの、フィットネス・ジムに向かったわけ…

聖金曜日をめぐって

大革命で第三身分が躍進した結果、フランスの政教分離は既定路線になった。だから、火災に遭ったノートル=ダムは人類の宝といえども、国が音頭を取る再建に富者が大枚を寄付するのを、だれもがだまって是認するということはあり得まい。ジレ・ジョーヌたちも…