ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

歳時記

クリスマスには鯉(2)

クリスマスは、異教の冬至の祭りに由来する。ジェイムズ・フレイザーなどを読むと、そういうことが延々と論証されている。のち、それをキリスト教会が採り込んだものであると。 中部ヨーロッパにおいて、クリスマス・ディナーのさいに鯉をたべる慣らいがある…

エピファニー

客席から手拍子がきこえぬ「ラデツキー行進曲」では、新年が明けた気がしない。 元日といえばウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で、まいとしほろ酔いのあたまでノイヤールコンツェアトを聴くのが習慣である。といっても高価なチケットを入手して出かけるほ…

灰の水曜日とコロナ禍

ことしは2月26日が「灰の水曜日」であった。イースターから46日前の水曜日を指している。ブラジルなどをのぞけば、公休日になっている国はあまりないが、カルネヴァルの終わりも意味するなど、文化的にはなかなか大きな節目ではある。 ふるくは灰をかぶる習…

クリスマスには鯉

photo by Jiří Fröhlich 鯉をクリスマス・イヴの食卓に供する習慣は、戦間期に一般に普及した、というのが通説らしい。現在までその文化の広がる領域は、かつての大ドイツ主義を偲ばせる。すなわち現在のドイツ、オーストリア、チェコ、ポーランド、ハン…

聖マルティヌスの日

明日は鴨たべるのか──と、時候の挨拶のつもりで訊いたが、ばかな間違いをしでかしたことに気づかなかった。 質問された友人は、なんのことかとしばらく思案したのち、「カモ(kachna)じゃなくて、ガチョウ(husa)だろ」といった。大笑いした。寒くなってき…

よんどころなき事情にうってつけの日

夏至は過ぎたとはいえ、日はながい。 アルプス以北のヨーロッパは、じつに北海道の北端より緯度が高く、廃止予定のサマータイムもことしはまだ健在だから、夜9時を過ぎてもなお明るい。──そこで10時まで開いているはずの、フィットネス・ジムに向かったわけ…

聖金曜日をめぐって

大革命で第三身分が躍進した結果、フランスの政教分離は既定路線になった。だから、火災に遭ったノートル=ダムは人類の宝といえども、国が音頭を取る再建に富者が大枚を寄付するのを、だれもがだまって是認するということはあり得まい。ジレ・ジョーヌたちも…