ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

Entries from 2020-02-01 to 1 month

イラーセクの風化

人間、意に反して何かをやらされたりすると、それに嫌悪感を抱くようになる。そこまでいかなくとも、飽きあきするようになる。──会社の仕事とか、学校の勉強とか、地域の活動とか、なんでもいい。それについて話題にするのはおろか、思い出したりもしたくな…

灰の水曜日とコロナ禍

ことしは2月26日が「灰の水曜日」であった。イースターから46日前の水曜日を指している。ブラジルなどをのぞけば、公休日になっている国はあまりないが、カルネヴァルの終わりも意味するなど、文化的にはなかなか大きな節目ではある。 ふるくは灰をかぶる習…

ハシェクと聖マティアの日

『兵士シュヴェイク』で知られるヤロスラフ・ハシェク(1883-1923)は、とくにポヴィートキとかフモレスキとか呼ばれたジャンルで掌篇の名手でもあった。生年がおなじで没年も近いからか、その生涯はカフカに似ているなどとWikipediaには説明がある。けれど…

トマーシュ・ガリグ・マサリク

2月23日は天皇誕生日であった。代替わりによって12月から祝日が移動し、令和のあたらしい歳時記が始まったことになるが、かつて昭和年間には4月であった。さかのぼれば文明開化の世に、さらなる国民の統合に資すべしなどという思いつきからはじまったもので…

病に効くスープとは

身内が入院することになり、欧州と日本を往来する生活にはいった頃の話である。当時「手術後に咀嚼できぬ者が、栄養を摂って次の手術に備えなければならない」という難問が持ち上がった。 何年も経ったいま現在でこそ、大手食品メイカーの多くが嚥下食と呼ば…

コンビニ考

photo by Duy Nguyen コンビニ大手・セブン&アイHDが、米石油精製会社マラソン・ペトロリアムとM&Aの交渉をしているという報道があった。何のことかと思ったけれど、ガソリンスタンド事業の買収というから合点がいった。 今は昔、20世紀の終わりの頃、ドイツ…

癲狂院のヨーゼフ2世

photo by urashima-e 承前。2020年2月20日は、1790年のヨーゼフ2世崩御からちょうど230年に当たっている。最期は肺病であったというから、だいぶ衰弱していたことだろう。耳ざわりのよいおべんちゃらでお茶を濁すことなく、「快復の見込みはない」と直言した…

ヨーゼフ帝の鋤車

プラハの旧市街広場に、1918年に破壊された聖マリア柱が戻ってくるらしい。再建のための予備的な発掘調査が始まったという報道があった。チェコスロヴァキア建国当時、軍団あがりなどという輩を中心とした群衆によって「愛国無罪」的な破壊行為が横行し、貴…

パンデミックと相場

2014年の「NISAの大号令」によって日本国の国策が示された。すなわち、国民一億すべからく投資家たるべし── 東日本大震災と福島原発事故の直後、お見舞いめいた口上を述べながらも、しれっと暴落した東電株を買い込んでいたチェコ人の友人らには参ったものだ…

悪疫の名前

photo by Hans Braxmeier 『薔薇の名前』といえば、記号論の研究者であったウンベルト・エーコの小説で、1980年代の映画もたいへんな名作であった。近年ではTVシリーズ版も制作されている。むかし中世史担当の教員が副教材に採り入れていたのも、然もありな…

かぶれとシャンプー

カフェイン入りというドイツ製のシャンプーが、「育毛に」と大陸ではけっこう人気らしい。欧州は「薄毛先進地帯」のはずなのに、ヨーロッパ人はどうもちょろいなと感じる。というのも、育毛や養毛といった「毛生えシャンプー」市場が成熟している日本の消費…

ヴァーツラフ・ハヴェル小路

ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』が、NHKの『100分de名著』に取り上げられ、第一回目が2020年2月3日に放送された。視聴率もなかなかよかったという噂で、意外にも日本人のハヴェルにたいする関心は高いものとみえる。2011年12月に逝去した直前に…

チェコ最古の醸造所?

photo by urashima-e チェコ語にいう「klub」とは、便宜上「クラブ」と訳してしまうが、それで語感まで伝わるとはいいがたい。強いていえば、結社の自由というときの結社であり、ジャコバン・クラブとか、会員制社交クラブというときのクラブでもあって、一…

寒暖差とお天気アプリ

APP

気がつけば春節も過ぎ、節分がせまっている。もうすぐ春である。小春日和には、雪のとけた地面がぬかるみ、そうすると、はやくもイースターでも来たかのような風情が漂う。けれども油断は禁物で、すぐにまた寒気がやってきて、路面はもとの白色に覆われたり…