ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

Entries from 2020-09-01 to 1 month

金融歌舞伎

倍返し──とひくと、『大辞林(第三版)』には「倍の金額を返すこと。」とあるのみだ。かつては、名古屋文化圏のひとが贈答にたいして返礼を倍にするとか、三倍にして返すとかいう解説をよく聞いたものだった。説明する者もどことなくしたりげで、気前がよい…

梯子のはずし方──チェコ共和国保健相の辞任

photo by Vlad Kiselov 夏のある日、9月からマスクの着用をふたたび義務化するとTwitter上で発表したのは、チェコ共和国の保健大臣、アダム・ヴォイティェフであった。理由は、秋の新年度をひかえ、学校が再開されると同時に感染者の急激な増加がおこると予…

世代間の川

photo by timJ 慣れとは如何ともしがたいものらしく、菅内閣がうっかり「カン内閣」と誤読されてしまう傾向もとうぶんつづくのかもしれない。自身の来歴をことあるごとに開陳して、これまでの世襲政治家の政権とのちがいを強調するスガ総理だが、すなおに受…

モラヴィアびと

photo by Jindra Buzek 日本人なのか、それともアメリカ人なのかなどと、人間はとかく他者にレッテルを貼りたがる── 大坂なおみの手記を読んでふと思い出したのは、個人的なモラヴィアとの因縁である。具体的には、四半世紀も前に読んだ同様の主旨のフレーズ…

2001年の長月

photo by Steve Harvey ニューヨーク同時多発テロ事件から19年が経った。来年は20周年。911とか、セプテンバー・イレヴンとも呼ばれたものだ。リメンバー・パールハーバーのノリでもあったのであろう。さいきんターリバーンとの和平が成立し、米軍はようやく…

イジー・メンツルによる架空の村

アカデミー賞監督、イジー・メンツルが亡くなった。享年82。数年前に、髄膜炎の手術がかなり大がかりだったと伝えられていたから、その後の容態が案じられてはいた。 1938年プラハ生まれ。1962年にアカデミーの映画学部"FAMU"を卒えると、やがてチェコスロヴ…

ベルリーナー

photo by Leon Ephraïm かねてからの告知どおり、チェコ共和国のミロシュ・ヴィストルチル元老院議長が台北を訪問した。日本語メディアでもさかんに報じられている。国内でもゼマン大統領は反対、バビシュ首相は沈黙──と決して一枚岩ではない小国にも拘わら…

葉月つごもり

L'Apparition 8月も終わりで、気がつけばもう9月なのである。当たり前だが。早い。 8月29日は「洗礼者ヨハネの殉教日」であった。事件じたいは「刎首」とも呼ばれるが、正教では「斬首祭」という謂いをするらしい。要は首を刎ねられたのであるが、それを祭っ…