ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

アンドレイ・バビシュの壺皿

photo by husnerova チェコ共和国政府が4月17日、ロシアの外交官18名に退去を命じた。それは2014年に国内で起きた弾薬庫爆発に、ロシアの機関が関与したことを理由にしていた。どうして今になって6年半ほど前の事件の真相が判明したのか、という素朴な疑問に…

ヴルビェチツェ爆破工作

photo by Umut İzgi チェコ共和国政府は、ロシアの外交官18人を国外に追放すると発表した。2014年に国内で起きた弾薬庫の爆破事件への、ロシア連邦軍参謀本部情報総局・GRUの関与が明らかになったためとしている。これを受けて反発したロシア側も、チェコの…

13時間

photo by Ahmed Almakhzanji アメリカ合衆国に関しては、ショッキングなニュースに触れたのち、何年も経ってから映画で事件の真相を垣間見ることはよくある。 ソマリアの一件がそうだった。たしかに特殊部隊・デルタの隊員の死骸がなぶられる映像は衝撃的だ…

デインジャー・クロウス──豪州の戦争映画

たまに戦争映画が観たくなる。 それも、戦争を背景としたコメディや恋愛ドラマではなくて、ちゃんとしたハードコアのドンパチがあるもの。いや、ドンパチだけのものがいい。 あらすじはお定まりで、戦場の平和な日常にいた部隊がある日とつぜん窮地に陥って…

鳥の歌

photo by Šárka Krňávková 明治期の紀行文といえば、日本文明を学ぶものにとって最重要のジャンルのひとつとなっている。日本に生まれた者はわざわざ日本人になる必要がないから、日本文化の知識が要らないと安吾は嘯いたが、ふだん意識されないことを他者の…

ピストルとは何ぞや

先日、米コロラド州のスーパーで起きた発砲事件で、容疑者が使用したのがAR-556「ピストル」だとCNNで伝えられた。──コンパクトながら、どう見ても現代的なアソールト・ライフル(突撃銃)なのだが。誤記なのかとも思ったけれど、『ニューヨーク・タイムズ』…

東岸西岸の変異ウイルス、遅速同じからず

photo by suju-foto 「燕が一羽とんだとて、春を意味するわけでなし」という諺言がある。イタリア語では「夏」というところ、ドイツ語やフランス語など、おなじ大陸でもアルプス以北で「春」といわれるのがふしぎである。ともかく、疑りぶかい人びとは、証拠…

チェコスロヴァキアの将星

〈Hoi4〉というゲーム セルゲイ・ヴォイツェホフスキー(1883-1951) リハルト・テサジーク(1915-1967) ヨゼフ・シュネイダーレク(1875-1945) ヴォイティェフ・ルジャ(1891-1944) 疫禍の春も3月にはいって早々、100万人あたりの死者数がベルギーを追い…

チェコ共和国と比例代表選挙

イタリアではひとあし早く「スーパーマリオ」政権が成立したけれど、今年はおおくの国が選挙を控えており、いっせいに国政の顔ぶれが様変わりすることもありうる。 ひと月ほどまえ、チェコ共和国の憲法裁判所が、平等な投票権と立候補の機会に反するとして、…

ロウシュキとレスピラートリ

photo by Wilfried Pohnke ヨーロッパ各国の感染症対策を主導するのは医師やウイルス学の権威であるから、どうしても規制は厳しめになる傾きがあるようだ。そもそも日本とは犠牲者の数字が桁ちがいというのが、やはり大きいには違いないけれど。 1月下旬、ド…

孔子学院とインド=太平洋のドイツ艦

photo by heinzbltes トランプ政権に中国共産党の「スパイ機関」と指弾された孔子学院について、昨今ではウェブ上に、いろいろの「検証」記事が上がっている。しかしながら、スパイ機関が「スパイしています」などと口を割るわけがない以上、その真相が明ら…

チェスカー・ズブロヨフカによるコルト買収

photo by Mike Gunner チェコ共和国の銃器メーカーである、チェスカー・ズブロヨフカ・グループ・SE(CZG)が、同業の老舗、米・コルト社(コルト・ホールディング・カンパニー・LLC)とそのカナダの子会社の全株式を取得すると報じられた。2億2000万ドル(…

プシェロフの虐殺

通話ソフトというのか、ウェブ会議アプリというのか、リモート勤務の普及にともなって、その手の仕組みを用いるひとは増えた。すっかり公演の減った演劇界でも、これを利用したプロダクションが生まれ、増えつづけている。動画として自宅から観覧できるゆえ…

鶏卵と動物の福祉

photo by Emiel Maters 鳥インフルエンザが猛威をふるっている。日本各地で感染が報告され、すみやかに殺処分の措置がとられている由である。 人間に感染する型もあるにせよ、そもそも鳥類のインフルエンザが変異してヒトに感染するインフルエンザが発生した…

冬のオロモウツと「民族の館」

モラヴィア辺境伯の記事を書いていて、オロモウツのことをおもいだした。はじめて訪れたのはもう、20年ほどまえの話である。つもった雪をみると、思い浮かぶ光景も多々あれども、どうしてゆくことになったことになったのかは、さだかではない。 当時オランダ…

モラヴィア辺境伯ヨープスト

photo by urashima-e いつぞやのブルノ市の広報誌の記事によると、モラヴィア辺境伯ヨープストが没してから、2021年は610周年になるようである。命日が1月18日だったというから、すでに幾日も経ってしまったが、とおいむかしの話であるからして、このくらい…

あいまいな私見の私

photo by Henning Sørby 各国でワクチンの接種も始まったというのに、終熄しそうでいてなかなかしないのが、パンデミックのパンデミックたる所以というところか。おなじコロナウイルスといっても、SARSは2002年に最初の感染例が報告された翌年に終熄宣言がで…

エピファニー

客席から手拍子がきこえぬ「ラデツキー行進曲」では、新年が明けた気がしない。 元日といえばウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で、まいとしほろ酔いのあたまでノイヤールコンツェアトを聴くのが習慣である。といっても高価なチケットを入手して出かけるほ…

ゆく年のベートホーフン

photo by Taylor Deas-Melesh 2020年は、ベートーヴェン生誕250周年であった。この、せっかくの観光客万来の年だというのに、こうむったのは疫病さわぎの冷や水であった。「ベートーヴェンハウス」を擁するボンやウィーンの関係者はさぞや、ほぞを噛んだこと…

アルフォンス・ムハの彷徨える《スラヴ叙事詩》

モラフスキー・クルムロフへ、アルフォンス・ムハの《スラヴの叙事詩》を観に行ったのは、もう10年は前のことである。 ムハの生まれ故郷、イヴァンチツェから約10キロ。モラヴィア南西部を蛇行するロキトナー川がS字をえがく淵に位置することから、おそらく…

ケリーメク──チェコ共和国の次期連立政権?

photo by Robo Michalec アドヴェントも第三主日がすぎたというのに、いぜん疫禍の騒ぎはつづき、ヨーロッパではドイツ連邦共和国を中心に規制が強められている。いつも冷静なメルケル連邦宰相が悲憤慷慨しつつ国民に協力を訴える姿が報じられていたが、隣の…

ある汎異文化論

photo by Lukas D. さいきんは異文化コミュニケーション論という謂いが多数派だろうか。たとえば言語を教える教師を養成するようなコースであれば、必修科目としてカリキュラムに含まれている。異文化といったり、間文化といったり、学会によって呼称が違っ…

もずのはやにえ

photo by Ryosuke Yamaguchi それにしても、あっと思ったら師走だったのである。立冬もすぎて久しいことからしても、あきらかにもう秋ではない。降雪だってあった。気がつけばアドヴェントも第二主日を迎え、残す蝋燭もあとふたつ。けれども、近年では11月の…

奴隷の年と東ボヘミアの城邑

すでに師走である。パンデミックをきっかけに、社会の矛盾があばかれた年だった──などと、年の瀬の総括らしきことを書くのは容易いが、その解決の方途について見えているわけではまったくない。 12月2日は「奴隷制度廃止国際デー」だったそうである。『デジ…

西ボヘミアの醜聞──サッカー協会の腐敗

photo by Daniel Kirsch 亡くなったマラドーナは、ピッチにあがるたびに十字を切っていた姿が印象に残っている。ほんの思いつきの乱暴な仮説だが、カトリック諸国のサッカーは、ドイツやイングランドとはやはり一味ちがうのかもしれない。おしなべて「母ちゃ…

マラドーナ急逝

photo by Jack Hunter 『キャプテン翼』のノリにはちょっとついていけない、ひねくれた子どもだった。それでも、1986年のメキシコ大会におけるアルゼンチン対イングランドの一戦は、録画してくりかえし観たものだった。実況担当は、NHKの山本浩アナウンサー…

すみれの色とドーベルマン

photo by Jordan Whitt またチェコ語の話になる。相手が誰であったのかもう忘れたが、紫色の(purpurová)服かなにかを褒めたら、「これは紫ではなくて菫色だ(fialová)」と怒られたことがある。そのときから漠然と、チェコ語の文化において紫色は否定的、…

ビロード革命の記念日

photo by S. Hermann & F. Richter 今年の記念日 「マルタの祈り」 そもそも──1939年と1989年 今年の記念日 チェコ語の11月、"listopad"とは「落葉月」である旨、まえに書いたが、現代では文脈によって「ビロード革命」を意味することがある。典型的には、"p…

マサリク・サーキットの危機?

photo by Jiří Rotrekl エリシュカ・ユンコヴァー(1900-1994)といえば、初期モータースポーツにおいて名を残した、チェコスロヴァキアの女性ドライヴァーであった。2020年11月16日にGoogleの記念のロゴ“Doodle”に採用されたらしく、生誕120周年を迎えたこ…

終わりの始まりの日

photo by Jaime Serrano 最悪の事態はまぬかれた。11月10日の午前1時を期して、ナゴルノ・カラバフをめぐる紛争で、アゼルバイジャンとアルメニアとのあいだで停戦が成立した。すでに停戦監視のロシア軍部隊がすみやかに展開しおおせたらしいことから、4度目…