ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

チェコ共和国と比例代表選挙

イタリアではひとあし早く「スーパーマリオ」政権が成立したけれど、今年はおおくの国が選挙を控えており、いっせいに国政の顔ぶれが様変わりすることもありうる。 ひと月ほどまえ、チェコ共和国の憲法裁判所が、平等な投票権と立候補の機会に反するとして、…

ロウシュキとレスピラートリ

photo by Wilfried Pohnke ヨーロッパ各国の感染症対策を主導するのは医師やウイルス学の権威であるから、どうしても規制は厳しめになる傾きがあるようだ。そもそも日本とは犠牲者の数字が桁ちがいというのが、やはり大きいには違いないけれど。 1月下旬、ド…

孔子学院とインド=太平洋のドイツ艦

photo by heinzbltes トランプ政権に中国共産党の「スパイ機関」と指弾された孔子学院について、昨今ではウェブ上に、いろいろの「検証」記事が上がっている。しかしながら、スパイ機関が「スパイしています」などと口を割るわけがない以上、その真相が明ら…

チェスカー・ズブロヨフカによるコルト買収

photo by Mike Gunner チェコ共和国の銃器メーカーである、チェスカー・ズブロヨフカ・グループ・SE(CZG)が、同業の老舗、米・コルト社(コルト・ホールディング・カンパニー・LLC)とそのカナダの子会社の全株式を取得すると報じられた。2億2000万ドル(…

プシェロフの虐殺

通話ソフトというのか、ウェブ会議アプリというのか、リモート勤務の普及にともなって、その手の仕組みを用いるひとは増えた。すっかり公演の減った演劇界でも、これを利用したプロダクションが生まれ、増えつづけている。動画として自宅から観覧できるゆえ…

鶏卵と動物の福祉

photo by Emiel Maters 鳥インフルエンザが猛威をふるっている。日本各地で感染が報告され、すみやかに殺処分の措置がとられている由である。 人間に感染する型もあるにせよ、そもそも鳥類のインフルエンザが変異してヒトに感染するインフルエンザが発生した…

冬のオロモウツと「民族の館」

モラヴィア辺境伯の記事を書いていて、オロモウツのことをおもいだした。はじめて訪れたのはもう、20年ほどまえの話である。つもった雪をみると、思い浮かぶ光景も多々あれども、どうしてゆくことになったことになったのかは、さだかではない。 当時オランダ…

モラヴィア辺境伯ヨープスト

photo by urashima-e いつぞやのブルノ市の広報誌の記事によると、モラヴィア辺境伯ヨープストが没してから、2021年は610周年になるようである。命日が1月18日だったというから、すでに幾日も経ってしまったが、とおいむかしの話であるからして、このくらい…

あいまいな私見の私

photo by Henning Sørby 各国でワクチンの接種も始まったというのに、終熄しそうでいてなかなかしないのが、パンデミックのパンデミックたる所以というところか。おなじコロナウイルスといっても、SARSは2002年に最初の感染例が報告された翌年に終熄宣言がで…

エピファニー

客席から手拍子がきこえぬ「ラデツキー行進曲」では、新年が明けた気がしない。 元日といえばウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で、まいとしほろ酔いのあたまでノイヤールコンツェアトを聴くのが習慣である。といっても高価なチケットを入手して出かけるほ…

ゆく年のベートホーフン

photo by Taylor Deas-Melesh 2020年は、ベートーヴェン生誕250周年であった。この、せっかくの観光客万来の年だというのに、こうむったのは疫病さわぎの冷や水であった。「ベートーヴェンハウス」を擁するボンやウィーンの関係者はさぞや、ほぞを噛んだこと…

アルフォンス・ムハの彷徨える《スラヴ叙事詩》

モラフスキー・クルムロフへ、アルフォンス・ムハの《スラヴの叙事詩》を観に行ったのは、もう10年は前のことである。 ムハの生まれ故郷、イヴァンチツェから約10キロ。モラヴィア南西部を蛇行するロキトナー川がS字をえがく淵に位置することから、おそらく…

ケリーメク──チェコ共和国の次期連立政権?

photo by Robo Michalec アドヴェントも第三主日がすぎたというのに、いぜん疫禍の騒ぎはつづき、ヨーロッパではドイツ連邦共和国を中心に規制が強められている。いつも冷静なメルケル連邦宰相が悲憤慷慨しつつ国民に協力を訴える姿が報じられていたが、隣の…

ある汎異文化論

photo by Lukas D. さいきんは異文化コミュニケーション論という謂いが多数派だろうか。たとえば言語を教える教師を養成するようなコースであれば、必修科目としてカリキュラムに含まれている。異文化といったり、間文化といったり、学会によって呼称が違っ…

もずのはやにえ

photo by Ryosuke Yamaguchi それにしても、あっと思ったら師走だったのである。立冬もすぎて久しいことからしても、あきらかにもう秋ではない。降雪だってあった。気がつけばアドヴェントも第二主日を迎え、残す蝋燭もあとふたつ。けれども、近年では11月の…

奴隷の年と東ボヘミアの城邑

すでに師走である。パンデミックをきっかけに、社会の矛盾があばかれた年だった──などと、年の瀬の総括らしきことを書くのは容易いが、その解決の方途について見えているわけではまったくない。 12月2日は「奴隷制度廃止国際デー」だったそうである。『デジ…

西ボヘミアの醜聞──サッカー協会の腐敗

photo by Daniel Kirsch 亡くなったマラドーナは、ピッチにあがるたびに十字を切っていた姿が印象に残っている。ほんの思いつきの乱暴な仮説だが、カトリック諸国のサッカーは、ドイツやイングランドとはやはり一味ちがうのかもしれない。おしなべて「母ちゃ…

マラドーナ急逝

photo by Jack Hunter 『キャプテン翼』のノリにはちょっとついていけない、ひねくれた子どもだった。それでも、1986年のメキシコ大会におけるアルゼンチン対イングランドの一戦は、録画してくりかえし観たものだった。実況担当は、NHKの山本浩アナウンサー…

すみれの色とドーベルマン

photo by Jordan Whitt またチェコ語の話になる。相手が誰であったのかもう忘れたが、紫色の(purpurová)服かなにかを褒めたら、「これは紫ではなくて菫色だ(fialová)」と怒られたことがある。そのときから漠然と、チェコ語の文化において紫色は否定的、…

ビロード革命の記念日

photo by S. Hermann & F. Richter 今年の記念日 「マルタの祈り」 そもそも──1939年と1989年 今年の記念日 チェコ語の11月、"listopad"とは「落葉月」である旨、まえに書いたが、現代では文脈によって「ビロード革命」を意味することがある。典型的には、"p…

マサリク・サーキットの危機?

photo by Jiří Rotrekl エリシュカ・ユンコヴァー(1900-1994)といえば、初期モータースポーツにおいて名を残した、チェコスロヴァキアの女性ドライヴァーであった。2020年11月16日にGoogleの記念のロゴ“Doodle”に採用されたらしく、生誕120周年を迎えたこ…

終わりの始まりの日

photo by Jaime Serrano 最悪の事態はまぬかれた。11月10日の午前1時を期して、ナゴルノ・カラバフをめぐる紛争で、アゼルバイジャンとアルメニアとのあいだで停戦が成立した。すでに停戦監視のロシア軍部隊がすみやかに展開しおおせたらしいことから、4度目…

米大統領選挙と風前の共和国

photo by Quino Al アメリカ合衆国大統領選挙は、ジョー・バイデン候補の勝利がほぼ確実となった。あの国らしく、選挙の仕組みがフットボールのルール並みに複雑であることに加え、なにより主役を張るのはあのドナルド・トランプである。意外な接戦になった…

チェコ共和国軍、トヨタ・ハイラックス導入へ

Twitterより チェコ共和国国防省は先ごろ、GLOMEXミリタリー・サプライズ社(プロスティェヨフ市)を通じて、最大1200輛のトヨタ・ハイラックスを購入することを決定した。2年間のメンテナンスやパーツを含め、1輛あたりのコストは税込み89万3千チェコ・コル…

死者の日と晩秋の祝日

photo by Adam Nieścioruk 早いもので霜月、11月である。ローマ起源のNovemberは、かつての暦で「九番目の月」を意味するが、チェコ語やポーランド語のlistopadとは、形態素をもとに訳せば「落葉月」とでもなろうか。月がかわったとたん、紅葉した木々の葉が…

嘲笑の対象

photo by Denis Poltoradnev 春さきに南独の鉄道駅で、たてつづけに列車を逃したのち、サマータイムへ移行した当日であったことにようやく気づいたという出来事は、もうふた昔もまえの話である。おかしいなと訝ったものの、なんのことはない。1時間まえの時…

ヤン・ジシュカのザリガニ

よく一緒に飲む連中のなかに、ニュー・オーリンズの男がいた。いわゆる「ヤナーチェキアン」の音楽家で、ながくモラヴィアに住んでいるが、仕事がない時期はアメリカに帰っていたりする。あるときピヴォを飲りながら、故郷の食文化のはなしをはじめた。した…

金融歌舞伎

倍返し──とひくと、『大辞林(第三版)』には「倍の金額を返すこと。」とあるのみだ。かつては、名古屋文化圏のひとが贈答にたいして返礼を倍にするとか、三倍にして返すとかいう解説をよく聞いたものだった。説明する者もどことなくしたりげで、気前がよい…

梯子のはずし方──チェコ共和国保健相の辞任

photo by Vlad Kiselov 夏のある日、9月からマスクの着用をふたたび義務化するとTwitter上で発表したのは、チェコ共和国の保健大臣、アダム・ヴォイティェフであった。理由は、秋の新年度をひかえ、学校が再開されると同時に感染者の急激な増加がおこると予…

世代間の川

photo by timJ 慣れとは如何ともしがたいものらしく、菅内閣がうっかり「カン内閣」と誤読されてしまう傾向もとうぶんつづくのかもしれない。自身の来歴をことあるごとに開陳して、これまでの世襲政治家の政権とのちがいを強調するスガ総理だが、すなおに受…