ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

Entries from 2019-11-01 to 1 month

世界でもっともうつくしい女

100を超える博物館施設があるというウィーンに、日本からやってくるひとは多いが、ユダヤ博物館をふらり訪れる者は、むしろ稀だろう。けれども、ウィーン市立博物館で町の歴史を概観したあとなどにゆくと、意外な発見があって、ユダヤの艱難の道のりを知る以…

ザップ・ガンと教皇フランチェスコ

読書が好きな子どもだった。 けれども、どうしてフィリップ・K・ディックの『ザップ・ガン』を書店で手にとったのか、我ながらわからない。「創元SF文庫、待望の新刊」として、目立つ位置に陳列されていたのかもしれない。 兵器ファッション・デザイナー、ラ…

ミロスラフ・ティルシュの像

プラハの日本大使館に用事があって、なにも考えずに朝がた地方から出てゆくと、よりによって到着する時間帯が領事部の昼休みにあたっている──ということがよくあった。 そうなると、小規模な博物館やランチ営業で混み合う飲食店を除けば、時間をつぶす施設な…

ビロード革命30周年とマルチン・シュミートの謎

Photo by Kevin Maillefer 11月17日は「自由と民主政治をもとめた闘争の日」として、チェコ共和国の祝日となっている。ボヘミアとモラヴィアを保護領化したナツィのドイツ当局が、1939年にプラハの大学を閉鎖した日であり、また1989年の、世に言う「ビロード…

さっとくぐらすビスコフ

オペラ歌手にして名優、クラウス・オフチャレクが演じた風変わりな男は、重要参考人として事情聴取のためにウィーンの警察署にやってきた。そこで、刑事がまさに手をつけようとしていた三日月型のパン、キプフェールを勝手にたべてしまう。その際、キプフェ…

聖マルティヌスの日

明日は鴨たべるのか──と、時候の挨拶のつもりで訊いたが、ばかな間違いをしでかしたことに気づかなかった。 質問された友人は、なんのことかとしばらく思案したのち、「カモ(kachna)じゃなくて、ガチョウ(husa)だろ」といった。大笑いした。寒くなってき…

四半世紀とか30年とかのオスタルギー

令和元年11月10日、東京では、ひと月ほど延期されていた祝賀御列の儀が行われ、沿道にたくさんの人がつめかけたと報じられている。この光景は、1993年6月の御成婚のパレード以来であると伝えるメディアもあった。じつに四半世紀以上が経過している。 それに…

二日酔いの特効薬? 常備したいもの

馬鹿につける薬と二日酔いの特効薬は無い、という。ただ後者に関しては、Newsweek誌の記事によると、もうすぐ出来するかも知れない(二日酔いの特効薬がもうすぐできる? 酔ったマウスに効果 | ニューズウィーク日本版)。 いずれにしても、忘れた頃にやって…

KOH-I-NOORの鉛筆とヴェルサティルカ

"Versatilky", KOH-I-NOOR 共産主義とは名ばかりの中国に尻尾を振っていた欧州企業も、このところの米中経済戦争激化のあおりもあって、かの地の景気が減衰するなか、戦略の見直しをせまられている。なかでもオーストリア航空が、中国路線に機材を振り向ける…