ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

Entries from 2020-04-01 to 1 month

人民の阿片

photo by Monica Volpin 新たな感染者の伸びをチャートで毎日追っている向きも多いだろう。ここにきて国によっては、当面の医療崩壊が避けられそうな気配が見えてきた。日本でも緊急事態宣言をいったん終了させることも可能であろうと、種々の分野の研究者が…

抗体検査とガタカな未来

まっさらな新型のウイルスには、真の専門家が存在しない。日々あらたな経験知を蓄積しつつある、というのが世界の現状だろう。それでも、この数か月にわたる闘争から得られた人類の知見というのがあって、それを簡潔にまとめた記事というのが、このほど『ニ…

モラヴィアのワイン酒場 (2)

photo by LEEROY 承前。中高年は昔話ばかりするからきらわれるのだ──といわれても、書くねたに窮すれば致し方ない。だが、個人的には年寄りの話もさほど苦痛に感じないたちだから、聴くのを厭うひとの気持ちはよくわからない。内容にもよるか。いずれにせよ…

モラヴィアのワイン酒場 (1)

photo by Jindra Jindrich くだものの果汁は、それじたい単糖類を含んでいるから、抛っておけばアルコール発酵がすすんでしまう。それが、おなじ醸造酒といってもビールや日本酒とは異なる点で、そういう意味でワインというのは、もっとも原始的な酒に属して…

復活祭、スリヴォヴィツェ、ホロコースト

photo by Marcela Lukášíková 不安が人びとにとり憑くいっぽう、特定の商品の需給が逼迫している。それで、ドラッグストアの棚から衛生スプレーが消えてしまうと、どうにか安手の蒸留酒のたぐいで賄えないものかと考えてしまった。かといって、もっとも…

消えゆく赤軍顕彰の像

承前。ポール・ウェラーがワルシャワのジャズ・クラブで「壁は崩れる」と呪いのことばを吟じてから4年後、はしなくも「壁」が崩れ去ったことは、周知のとおり。労働者独裁をやっている国はなくなった。アジアで僭称している政権などは除いて。 友人のさそい…

スタイル・カウンシルのワルシャワ

photo by Charlie Galant 春の陽気とコロナの憂鬱のなか、イースターがちかづいている。しかし、謎のウイルスに完膚なきまでに打ちのめされた人類に「復活の日」などやってくるのだろうか。 ところで、最初にワルシャワを訪れたのが十何年かまえではあったの…

インフォデミックの果て

グテーレス国連事務総長をして、第二次世界大戦以来「最大の試練」と評せしめたコロナウイルスの大流行。いまやメディアの注意を引く世界の中心は、大陸欧州から北米にシフトした観がある。アメリカ合衆国の感染者数は、イタリアのそれの、ざっと倍に達して…