歴史
1)反ユダヤ政治の季節 2)儀式殺人の迷信 3)アウジェドニーチェクのその後 4)『無実の男』と現在 1)反ユダヤ政治の季節 (承前)ポルナーは、がんらいボヘミア王国の町で、モラヴィアとの辺境に位置している。現行の、チェコ共和国の行政区画ではヴィソ…
9月12日、悪名高いヒルスネル事件の公判がはじまった。ただし、1899年の9月12日であるから、122年前のことである。 2016年には、この事件をチェコ共和国の公共放送(ČT)がドラマ作品として映像化した。Amazonで視聴できる。前後半の2部構成で、各話50円とな…
8月26日は、1278年にマルヒフェルトの戦いがあった日づけである。 マルヒフェルトとは「マルヒ川(モラヴァ川)のほとりに広がる草原」を意味する地名であって、ウィーンの郊外に位置している。これでは漠とした印象も否めないためか、「デュルンクルート=イ…
ガンブリヌスといえば、ビールの王として名高い。鷗外森林太郎などは「麦酒神」と、その存在をまさに神格化してしまってすらいる。 南独逸の半ば以上を占め、ガンブリヌス(麦酒神)の恵みを受ける豊饒な国に九百三十万の民草を統治するバイエルン国王──十一…
アウステルリッツ三帝会戦──とは、とくべつに歴史に興味がなくとも、トルストイの『戦争と平和』や世界史の教科書によって知るひとも多いはず。 この名称はしかし、ナポレオンがプロパガンダのためにひろめたものにすぎない。実際の戦場は、現在のチェコ語の…
ボヘミアの伍長──というのは、ときのドイツ国大統領パウル・フォン・ヒンデンブルクが、アードルフ・ヒトラーをさしていった表現だという。久しく人口に膾炙した謂いであるものの、ヒトラーは伍長でもなければ、ボヘミア生まれでもなかった。 こういった場合…