ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

Entries from 2020-01-01 to 1 year

コンビニ考

photo by Duy Nguyen コンビニ大手・セブン&アイHDが、米石油精製会社マラソン・ペトロリアムとM&Aの交渉をしているという報道があった。何のことかと思ったけれど、ガソリンスタンド事業の買収というから合点がいった。 今は昔、20世紀の終わりの頃、ドイツ…

癲狂院のヨーゼフ2世

photo by urashima-e 承前。2020年2月20日は、1790年のヨーゼフ2世崩御からちょうど230年に当たっている。最期は肺病であったというから、だいぶ衰弱していたことだろう。耳ざわりのよいおべんちゃらでお茶を濁すことなく、「快復の見込みはない」と直言した…

ヨーゼフ帝の鋤車

プラハの旧市街広場に、1918年に破壊された聖マリア柱が戻ってくるらしい。再建のための予備的な発掘調査が始まったという報道があった。チェコスロヴァキア建国当時、軍団あがりなどという輩を中心とした群衆によって「愛国無罪」的な破壊行為が横行し、貴…

パンデミックと相場

2014年の「NISAの大号令」によって日本国の国策が示された。すなわち、国民一億すべからく投資家たるべし── 東日本大震災と福島原発事故の直後、お見舞いめいた口上を述べながらも、しれっと暴落した東電株を買い込んでいたチェコ人の友人らには参ったものだ…

悪疫の名前

photo by Hans Braxmeier 『薔薇の名前』といえば、記号論の研究者であったウンベルト・エーコの小説で、1980年代の映画もたいへんな名作であった。近年ではTVシリーズ版も制作されている。むかし中世史担当の教員が副教材に採り入れていたのも、然もありな…

かぶれとシャンプー

カフェイン入りというドイツ製のシャンプーが、「育毛に」と大陸ではけっこう人気らしい。欧州は「薄毛先進地帯」のはずなのに、ヨーロッパ人はどうもちょろいなと感じる。というのも、育毛や養毛といった「毛生えシャンプー」市場が成熟している日本の消費…

ヴァーツラフ・ハヴェル小路

ヴァーツラフ・ハヴェル『力なき者たちの力』が、NHKの『100分de名著』に取り上げられ、第一回目が2020年2月3日に放送された。視聴率もなかなかよかったという噂で、意外にも日本人のハヴェルにたいする関心は高いものとみえる。2011年12月に逝去した直前に…

チェコ最古の醸造所?

photo by urashima-e チェコ語にいう「klub」とは、便宜上「クラブ」と訳してしまうが、それで語感まで伝わるとはいいがたい。強いていえば、結社の自由というときの結社であり、ジャコバン・クラブとか、会員制社交クラブというときのクラブでもあって、一…

寒暖差とお天気アプリ

APP

気がつけば春節も過ぎ、節分がせまっている。もうすぐ春である。小春日和には、雪のとけた地面がぬかるみ、そうすると、はやくもイースターでも来たかのような風情が漂う。けれども油断は禁物で、すぐにまた寒気がやってきて、路面はもとの白色に覆われたり…

オッカムの剃刀 と"částice"

photo by Thomas Breher 先ごろ、英独の研究者らが、複数の原子が結合して分子になる様子を撮影することに成功した旨の報道があった。カーボンナノチューブに閉じ込めて運動を抑制した金属原子を、透過型電子顕微鏡という特殊な顕微鏡を用いることで、18秒に…

ペスト柱

オロモウツの「この上なく神聖なる三位一体の柱」(Wikimedia) 新型肺炎ともコロナウイルス感染症とも通称される疫病が猛威をふるっている。中国ではすでに百人を超える死者が出ているという。日本はおろか、先日ついにウィーンにも上陸したという報道があ…

MacBookの水死。

Mac

photo by Andrian Valeanu 水没というとさすがに誇張が過ぎるが、水でMacBook Proを壊してしまった。気をつけてはいたのだけれども、アウェイの環境では自分なりの「安全管理」のルーティーンを守りきることができず、やってしまった。 これが水分を拭き取っ…

レバノン、イラク、横浜──令和2年の世界

photo by Raimund Andree 新年早々、メディア産業は繁忙をきわめている。 カルロス・ゴーン亡命の続報によって、同事件の当事者らによる国際的な広報合戦の火蓋がきっておとされた。ところで、スペイン・セアト社のトップたるルーカ・デ・メーオがその職を辞…