ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

時計じかけのAmarillo【麦酒】

 

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時計じかけのアマ……

 

 "Amarillo"といえば、Virgil Gamache Farms社の人気ブランドで、風味やアロマの点で"Cascade"を強化したようなホップであるとよくいわれている。

 テキサス州には同名の都市もあり、米語の発音(/ˌæməˈrɪloʊ/)をカタカナで音訳するとしたら「エァーマリロウ」となろう。しかし、綴りをみれば、どうみてもスペイン語で、しかも、やっかいにも “ ll ” ──「ドブレ・エレ」を含んでいる。

 ドブレ・エレ──四半世紀まえにスペイン語の初級講座を学習した際は「南米ではジェイースモが普及しているよ」くらいの講師の説明だったが、時代とともに、そう単純な話でもなくなってきているらしい。アンダルシーアのパエーリャだって、パエージャともいえるし、アヒージョだって、アヒーリョとも、アヒーヨともいうことができる。世界は急激に複雑さを増している。──というのに、よくもまあ、天下のNHKが「世界からヴが消える」などと単純バカなことが書けるもんだ……。関係ないけど。

 というわけで、当該ホップの名前。リェイースモlleísmoの発音にしたがえば「アマリーリョ」となろう。ジェイースモないしイェイースモyeísmoと呼ばれる発音を採れば「アマリージョ」か「アマリーヨ」と表記できよう。ほんとうは……?

 

参)スペイン語圏における多様な"Amarillo"の発音:

forvo.com

 

 

 "Clockwork" シリーズは、流行りのニューイングランドIPAのシリーズで、それぞれ主役となるホップが決まっている。シリーズ第二作となるらしいのが本品で、"Clockwork Amarillo"。ご案内のとおり、オレンジや蜜柑を連想させるアロマが特徴的ではあるが、ほかのビタリング用のホップを用いなくともじゅうぶんな苦味をだしている。旨い。

 ──ああ、そうか。だから「時計じかけの……」なのか。手品のごとく、ホップだけで幻の柑橘をでっち上げ、爽やかな苦みとの絶妙なバランスを成してしまう。時計じかけのオレンジのように奇妙だ。

 

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