ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

パンドゥーアII

「武器輸出禁止三原則」が見直され、2014年に「防衛装備移転三原則」があらたに閣議決定されてから、日本でも兵器の輸出が構想されるようになった。しかし、日本の防衛産業に成功らしい成功はいまだにない。

 川崎重工が、C-2輸送機をオセアニアに輸出しようと尽力している旨の報道があった。

 輸送機といえば、現在生産されているものだけで考えると勝機はあるのかもしれない。C-17はもう生産されておらず、大ベストセラーのC-130シリーズ、エアバスのA400Mや、エンブラエルKC-390あたりがライヴァルとなろう。製品特性やスペック上の類似性からいえば、エンブラエルがもっとも手強い相手となろう。

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 いっぽう、コマツが防衛装備部門から事実上、撤退する旨の報道もあった。陸自の要求が特殊すぎて製品たる装甲車は、各種の性能が「独特」であったらしいことが各種の記事から知れるが、すくなくとも輸出に向かないのだろうとはわかる。

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 そうなると、自衛隊としては、96式装輪装甲車の代替装備の選定が喫緊の課題となろう。三菱重工が何年も前に発表していたMAVを除けば、国産の実現可能性はまずない。

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 現時点で蓋然性は低そうだが、もしも輸入するとなれば、どうなるか。──本命は、米軍とのインターオペラビリティの観点からも、ストライカーの採用か、ピラーニャ・シリーズからの独自開発というのが妥当なところか。

 だが、世界に目を転ずれば、この8輪装甲車のカテゴリーは選択肢が豊富で、陸自としても、よりどりみどりの状況がある。ドイツ=オランダ共同開発のボクサーは、欧州のリトアニアだけでなく、遠く豪州軍でも採用が決定しているし、フィンランドパトリアAMVなどは、クロアチアスロヴェニアポーランドのほか、南アフリカでも大規模に採用され、かつては発展型が米海兵隊でも採用されるという観測もあった。

 

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 そこで、《パンドゥーアII》という選択肢はいかがであろう。

 オーストリアのシュタイアー=ダイムラー=プフ社で開発され、ポルトガルチェコがすでに運用。インドネシア軍にも導入される予定だという。

 インドネシアへの輸出に際しては、どうやら開発元ではなく、チェコスロヴァク・グループなる製造者から行われるようだ。といっても、同社はジェネラル・ダイナミックスの傘下にあり、開発したシュタイアー社も現在は同じ傘下にはいっている。要は、オーストリアで生産するよりも、チェコ人やスロヴァキア人をつかったほうが、人件費が安くあがるというわけなのだろう。──そもそもコマツには分が悪い戦いだったのだ。

 ちなみに「パンドゥール」というのは、ハプスブルク君主国におけるクロアチア貴族の近衛散兵部隊の呼称で、17、18世紀、たとえばシュレーズィエン戦役などで活躍した。「パンデュール」という表記を散見するが、ちょっと違うとおもう。

 

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 参)陸自・水陸機動団にかぎっては、近年もうひとつ選択肢がふえている:

otakei.otakuma.net