ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

ドナルド・キーン【訃報】

 巨星墜つ。大往生といってよい、96歳。

 ご著書で勉強させていただいた。ぜんぜん足りないけれど。手もとにもある。

 さいきんでは、いわゆる〈日本人論〉における「日本特異論」に似たような思い込みが、当の日本のひとびとに蔓延しているのを指摘して、やんわり批判するかのようなエッセイも書かれていたとおもう。印象にのこっている。

  

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  若き日にニューヨークで、アーサー・ウェイリー訳『源氏物語』を、49セントでぐうぜん手に入れ、戦争もあり、曲折は経ただろうが、その15年後には中尊寺に参詣。爾来、日本のことを考えなかった日はない──なんとしあわせな人生だろう。

 

 近代文学史の生き証人でもあった。興味深い証言もでてきた。

 

特に親交が深かった三島由紀夫ノーベル賞の関係については「三島さんは、本当は自分が欲しかったけれど、川端先生の受賞を純粋に喜んだと思います。三島さんにとって川端先生は、尊敬する恩師でしたから。川端先生の受賞が自決することの引き金だった、という考え方もあるようですが、そうとは思えません。個人的には三島さんに受賞して欲しかったので、必ずチャンスは巡ってきて受賞できたはずだったと思っていますからもっと生きて欲しかったと思います。夢のような話ですが、三島さんが生き返って受賞して欲しいと思うことさえあります」と語っていました。

 

また、川端康成については「川端先生の死について、ノーベル文学賞の受賞者としてレベルに達した作品を書けなかったからその苦しみに耐えかねて川端先生は死を選ばれた、ということも考えられます。私自身もそう考えたこともありました。しかし川端先生は、美に対してはかり知れないほど繊細で、優れた感性をお持ちでした。そんなことに死を選ばれた原因があるのでは、と思うこともありますが、みな想像にしか過ぎません。川端先生が私に示して下さった慈愛に充ちた温かさは今もって身に沁みて感じます」と振り返っていました。

 

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ドナルド・キーン自伝-増補新版 (中公文庫)

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果てしなく美しい日本 (講談社学術文庫)

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