ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

スコットランドにも勝利──ラグビーW杯・横浜

www.youtube.com

 ラグビーのワールドカップにて、10月13日、日本代表はスコットランドに勝利し、トーナメント進出を決めた。横浜の衝撃。念願のベスト8だ。

 開始早々スコットランドの先制をゆるした日本だったが、のち松島幸太朗、稲垣啓太、福岡堅樹による3つのトライと、それぞれゴールも決まり、21対7で前半を折り返した。体力があるうちに得点差を確保したことは大きい。だからこそ、後半が始まるとスコットランドは6人もの選手交代を決行した。その甲斐もあってか、よく追い上げたが、けっきょく日本が後半開始直後にあげた追加点もあわせて、28対21で逃げ切った。

 今回も、日本代表の戦いぶりは称賛されている。たとえば、BBCのトム・イングリッシュ記者などは筆を尽くしていて、曰く──日本は創意工夫にあふれた素速い嵐のようで、その精度たるや拍子木も真っ青だった。スコットランドのミスはことごとく喰われた。無慈悲だった。すこしも容赦なかった。そして素晴らしかった。

 とはいっても、決して楽な勝負ではなかった。とくに終了までの15分ほどは、スコットランドがトライとゴールを決めてしまえば同点に追いつく場面とあって、両者とも必死の様相で、息もつかせない激しい攻防がみられた。それだけに、観る者を飽きさせない試合の、もっともラグビーらしいみどころでもあった。

 スコットランド側には、アウェイという不利があったことも事実だ。7万の歓声は、ほぼ日本側の味方であった。しかも前夜に台風19号「ハギビス」が襲来し、当日まで開催自体も危ぶまれていたところで、じっさい前日12日には2試合がキャンセルされていた。スコットランドのフロントが中止の場合は訴訟も検討している旨、報じられていた。体力面に関しても、日本代表が前の試合から中7日で臨んだ一方、スコットランドは中3日しかなかった。そのため、スコットランドは日本戦のために主力選手を温存していたとも伝えられた。

 ──それにしても、今大会の日本は強い。強豪国に連勝してしまった。ラグビーは階級社会の競技であり、チームにもさまざまな格がある。それだけに、ティーア1以外の代表チームがトーナメントに進出するのは歴史上4番目である、というふうにも報じられている。とはいえ、ランキングでは日本代表は試合前の時点で8位になっており、いつのまにかスコットランド代表は格下になっていた。さらに今回の勝利により、日本は7位まで上昇した。

 1次リーグが終わってみれば、なんと4連勝。プールAの堂々1位。20日の日曜日に、調布市東京スタジアムで行われる決勝トーナメント初戦で、南アフリカとあたるとことなった。2015年の「ブライトンの奇跡」が思い起こされる相手だが、日本代表はもはや奇跡に頼る必要はないだろう。 

プールA #40 日本 vs. スコットランド

プールA #40 日本 vs. スコットランド

www.youtube.com

www.bbc.com

www3.nhk.or.jp

www.huffingtonpost.jp

*日本代表躍進のキーパーソンたる、リーチとジェイミー・ジョゼフのひととなりを窺わせる記事:

bunshun.jp

 

台風19号の影響については、よっぽど丁寧に説明すべきであった。日頃からサイクロンによる被災経験のあるオセアニア勢はともかく、ヨーロッパ勢が台風の恐ろしさを事前にじゅうぶん理解したとは思えない(英国などは、自国の戦闘機に「タイフーン」などと命名してはいるが)。12日のニュージーランド戦中止を被ったイタリアなどは、トーナメント進出の可能性もなかったとはいえず、不満がくすぶり続けるのではないか。

www.afpbb.com

www.bbc.com

the-ans.jp

www.bbc.com

 

*追記:

「ブレイブ・ブロッサムズ(日本チーム)は鋭いパスと鋭いオフロードを見せつけ、陶酔するようなラグビースコットランドを切り裂いた」(スコットランド・ヘラルド紙)

bunshun.jp

www.youtube.com

 

*福岡竪樹によるひとつめのトライ:

*福岡竪樹によるふたつめのトライ:

 

*見事なオフロードからの稲垣啓太によるトライ:

www.youtube.com

www.youtube.com

実は、日本チームのプレーはアイルランドチームのプレーに似ている。冷静で正確、ほとんどミスがないのだ。

だが、騙されてはいけない。見た目もチーム編成も、ふたつのチームは似ても似つかない。日本代表はアイルランドとは正反対の真のプレーヤーだ。スコットランド戦で、日本チームは試合を巧みにコントロールし、正確なテクニックを駆使して戦い、圧巻のプレーだった。

その上、彼らのトライはほとんどすべてが長い時間立ってプレーを継続し、オフェンスがパスをつないだ後で行われている。しかも、その時の動作は、日本が持つ真の才能を際立たせる、きわめて優雅なものだ。

courrier.jp