ウィーンへ至る直行便事情
ANAの羽田=ウィーン線の運行開始が、2019年2月17日に迫っている。東京=ウィーンの直行便事情をまとめてみた。

そもそも、1989年以来、27年のあいだ日本とオーストリアを結んできた、オーストリア航空の成田=ウィーン線が廃止されたのは、つい、2016年9月のことであった。
当時の報道によると、円安による不採算とかなんとかいっていたが、のち、同社が機材を上海や香港線に振り向けたことからして、要は、衰退一途の日本への運行をやめて、成長いちじるしい中国の旅客の獲得に注力するためという、なんとも嘆かわしい事情があった。
これによって、ウィーンや現在のオーストリア諸都市へはもちろんのこと、周辺の旧帝国領各地への渡航にも不便が生じた。ヨーロッパのどこで乗り継ぐにしても、プラス数時間、よけいにかかるわけだ。さらに昨今のセキュリティ対策は、乗り継ぎをひどく煩雑なものにしている。つかれる……。
ところが、2018年5月、この路線は1年8か月ぶりに再開された。「市場環境の改善」などと、またぞろ、もっともらしいプレスリリースがあったが、中国経済の失速が背景のひとつであろう。2017年のドナルド・トランプ氏の米国大統領就任と、その後の貿易戦争で、潮目が変わったとみえる。
再開後の同路線は、予約状況の「予想を上回る好調」のためか、2018年10月から目下、一時的に運航休止を余儀なくされ、2019年3月31日から週6便に増強されて再・再開されるという。
しかしながら、2018年10月15日に、ANAが、羽田=ウィーン線を新規開設を発表した。その第1便が、2019年2月17日に迫る。
https://www.ana.co.jp/group/pr/pdf/20181015-1.pdf
運行スケジュールの面では(すでに指摘されているように)、利用者にとってはひじょうに便利な(経営側からすれば野心的な)設定になっている。
すなわち、夜中のうちに東京を出発して、朝の6時にウィーン=シュヴェヒャート空港に到着するのだから、仕事にしても、観光にしても、朝から時間を有効につかえる。ヨーロッパ諸都市への便に乗り継ぐにしても、だ。
しかも、あのコンパクトなシュヴェヒャート空港のことだ。乗り継ぎにしても快適にちがいない。悪名高いロンドン・ヒースローはむろん、複雑で手狭なパリ・CDGや、拡幅が裏目に出て、乗り継ぎ便のゲートまで数十分の全力疾走を強いられるアムステルダム・スキポール空港などとはくらぶべくもあるまい。