ウラシマ・エフェクト

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ペトル・フィアラ──チェコ共和国の新首相

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photo by Richard Ley

 11月28日の日曜日、市民民主党ペトル・フィアラ党首が、チェコ共和国首相に任命された。同党は政党連合SPOLUとして先日の選挙を制していた。

 ミロシュ・ゼマン共和国大統領は、選挙に先だつ10月10日から集中治療室で加療中で、ようやく11月25日木曜日に退院。ところが、プラハから40kmほど西のラーニにある大統領公邸に移動したのちに、新型コロナウイルスに感染していることが判明し、翌金曜日に元いた中央軍事病院に舞い戻った。そのため、新首相の任命式は日曜日にずれ込んだ。

 任命式において、水槽のような衝立のなかにひとり車椅子ごと鎮座するゼマン大統領と、その前に直立して抱負を述べるフィアラ新首相の映像が放送・配信された。金魚のようで滑稽な自国の国家元首を目の当たりにした市民らが、リモートで行うという手もあったのではないかとSNSでさかんに批判していたのも当然と思われた。

 フィアラ新首相は任命後、雪の降るなか記者に会見した。そこで「自由には責任が伴うことを理解し、予防接種を受けた市民に感謝します。ワクチンを打っていない方がたには、ぜひ接種を受けることを検討して、この一歩を踏み出していただくよう要請したい」と述べ、あわせて、すべての医療関係者と医師にたいする謝意を表明した。

 アンドレイ・バビシュ前首相の「接種を受けていない連中は自分勝手だ」という言辞が日本の報道記事にもあったが、ほぼ同じ意味内容ながら対照的な物言いという印象をうけた。

 新政権の政策はまもなく明らかになるとして、ペトル・フィアラ首相の来歴を簡単に紹介しておこう。

 一般には、政治学の研究者・教師だと思われている。

 選挙ビラ等の資料によると、1964年、同共和国ブルノに生まれた。

 1983年に同市内の大学、哲学部に入学(民主化後のマサリク大学)。当初の専攻はチェコ語と史学であった。

 1986年、スタレー・ブルノ地区の聖母被昇天聖堂にて受洗。

 1987年、友人らとサミズダト雑誌『レヴュー88』を編集。

 1988年、徴兵に応ずる。

 1989年11月、民主化デモに参加し、将来の妻・ヤナと知り合う。

 1990年、仲間たちと同学部に政治学科を開設し、のち29年にわたって主任を務める。

 1992年、結婚。追い追い三人の子どもにめぐまれる。

 1998年、同大学の社会科学部の開設に参画し、のち学部長にも就任。2004年、同大の学長就任。

 2012年(ペトル・ネチャス内閣にて)学校教育・青少年・体育大臣に就任。

 2013年、市民民主党(ODS)南モラヴィア県連推薦の無所属候補として出馬し、代議員に当選。2014年、同党首に選出さる。

 2017年、有権者のつよい支持をうけて、ふたたび代議員に選出……などと紹介されている。

 同国では、25日深夜から非常事態宣言が発効しており、商店の営業時間が制限されるなどしている。また、南アフリカに由来するオミクロン型変異種によると思われる症例も、27日までに確認されていると伝わっている。週明けからの、新首相の初動に注目したい。

 

*参照:

www.jiji.com

www.jiji.com

news.yahoo.co.jp

www.nikkei.com

jp.reuters.com

jp.reuters.com

news.yahoo.co.jp

mainichi.jp

www.jetro.go.jp