ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

ブルーブラックのゲル

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 日本では「ゲルペン」などと呼ばれているポールペンがある。英語でいえば「ジェル」だろうが、あえてドイツ語風に「ゲル」とした、最初のメイカーはどこなのだろう。──そのゲルペンが取り上げられた動画をみて、思い出した。

 三菱ユニボール・シグノ(Uni-Ball Signo)を長く愛用している。残りわずかとなった平成の、そのはじめのころからだから、もう30年以上ということになるわけだ。ひゃー。

 書き味もそうだが、色がいい。もっぱらブルーブラックを使用している。いまでこそ、他社の類似した商品にもブルーブラックというラインナップがみられるが、当時はあまりなかったようにおもう。万年筆のインクのような色が気にいったわけだが、実用的にもすぐれている。

 ヨーロッパでは、学校のノートから役所の書類への記入まで、青いボールペンがつかわれることが多いが、場合によってはこれが読みにくい。インクの色に決まりがあるわけでもないらしく、とくにメイカーによっては、極端に明るい発色のインクだったりして、閉口することがある。が、そこでブルーブラックを使うと、青いインクと異なって、光のかげんで読みにくくなることもすくない。もともと万年筆を用いる習慣だったのだろうし、そもそも青色じたい製造者によってばらつきがあるわけだから、ブルーブラックも青として許容される。

 とはいえ、青いインクを用いる習慣には合理的な利点がある。契約書類のタイプされた文字列や、フォームの枠が黒色で印刷されているばあい、こうした印字と手で筆記された文字が色でも区別されるために、視覚的には瞬時に認識できるので、脳の負担が軽いようで、楽なのだ。だから、これを見慣れてしまうと、こんどは日本の役所の黒いインクのボールペンに違和感がでてくる。

 そういうわけで、ブルーブラックという色は、青文字記入文化圏にも黒文字記入文化圏にも対応できるすぐれものでもあって、ひじょうに都合がよかった。

 この30年で、軸のデザインは何度か変更をみたが、基本的にインクにはおそらく変更がなかったことはありがたい(社内のインク・ソムリエが、ひとしれずレシピを変えつづけている可能性は排除できないが……)。

 といっても、このシリーズに不満がないわけではない。ペン先のメカニズムがデリケートすぎるのか、インクが残っているのに書けなくなってしまうことが多い。ボールペンじたい、意外にデリケートなものだから仕方がないが。これは、しかし個体差も激しいようだ。

 その点、ゼブラ社のサラサという商品のほうが故障がすくないようにおもう。が、サラサのブルーブラックのインクは、濃く書ける印象はよいのだが、粘度が低いのか、べたーっと滲むような書き心地があって、苦手である。水性インクのようで、「あれがいい」という向きもあるだろうが……

  

 

*参照:

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