2019年4月15日、パリの中心「ポワン・ゼロ」の正面にたつ、ノートル=ダム大聖堂で火災が発生した。
大勢が詰めかけた現場付近では、燃え盛る炎をみながら泣き崩れるひともあった。
屋根全体の3分の2が焼失し、およそ90メートルの高さを誇ったという尖塔も崩落した。
が、そもそもその尖塔が火元ではないか、という見解が有力になっている。一年ほどまえから、600万ユーロを投じた尖塔の修復プロジェクトが進行していたためで、足場からの失火の疑いで調査が行われているという。
地元の人びとにとっての存在の大きさはいわずもがな、近年ではディズニーが作品化したことで、ユゴーの『ノートルダムの鐘』に脚光が集まるなど、世界中の人に近しく思われるようになっていたようだ。各国首脳の声明をみるにつけても、なにか文明世界のシンボルの喪失のようなニュアンスを、この突発的で不幸な事故に見いだし、共有しているかのようにも読めた。
そんな世界で共有された喪失感とは別に、このショッキングで、悲しいできごとから、むしろ直接の関係がないミシェル・ウエルベックの小説を思い出してしまった。集団的アイデンティティの喪失と、不吉な未来の予感……。
参)
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