ウラシマ・エフェクト

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カルロス・ゴーンの亡命

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photo by djedj

 2020年1月6日の月曜日は、東京株式市場における大発会であったが、ご祝儀相場とはならず、日経平均は大幅続落して引けた。いわずもがな、米軍によるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官襲撃が、地政学リスクと受け止められたため、といわれている。下落幅は一時500円を超えた。

 同日は官庁だけでなく日本のマスメディア各社も御用始めだったのか、年末から新年にかけてのニュースの詳報や続報もいろいろと出来した。とりわけ、年末に発覚したカルロス・ゴーンの逃亡事件については、かまびすしい。

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーンは、2018年11月19日、東京地検特捜部により金融商品取引法違反容疑で逮捕され、東京地検により起訴された。その間、東京拘置所に勾留されていたが、翌2019年3月になって保釈された。──そのゴーンのものという「レバノンに居る」旨の声明が報じられたのは、同年も末日。これにより、保釈中の国外逃亡が発覚した。まったくの青天の霹靂だったらしく、弁護を担当するひとり、弘中惇一郎弁護士すら「寝耳に水」とコメントしたほどだった。

 12月29日の午後、ゴーンは自宅を出、品川から新幹線に乗り西に移動し、同日夜11時10分ごろ、関西国際空港からチャーター機で出国した。ウォールストリート・ジャーナル紙等によれば、ゴーンは音響機材の運搬用のケースに身を隠し、チャーターしたトルコ・MNGジェット社のボンバルディア製グローバル6000によって、トルコ経由でレバノンベイルート国際空港へ逃れた。実行は、米特殊部隊にも所属したというマイケル・テイラーら、民間軍事会社の関係者が請け負った。レバノン政府の関与もあるようだ。

 この亡命劇で、日本の司法や出入国管理の不備ないし不手際が証明されただけでなく、けちょんけちょんに莫迦にされた形でもあって、誇りをもっていた多くの法曹関係者が憤りのコメントを表明している。といっても、ゴーンからすれば、できるからやっただけ。現状の仕組みを放置してきた関係者の自業自得といえる。

 ゴーン自身の声明と報じられているところでは「基本的な人権が無視されている不正な日本の司法制度」から逃れたという動機が明かされており、悪名高い日本の「人質司法」も、あらためて「告発」された形となった。

 高野隆弁護士などは4日、自身のブログで「裏切られた」という心持ちを吐露したが、同時に「全否定はできない」とゴーンに同情してもいる。問題点を認識している関係者は、同様の複雑な感想を抱くことであろう。逃亡や証拠隠滅のおそれがあるならば、毅然として保釈を許可すべきではなかった。にも拘わらず保釈が決定されたのは、当の裁判所が人質司法批判を気に病んでいたために他ならない。しかも、保釈金は同被告にしてみれば「端た金」ていどの金子で、パスポートすら、一通のみ鍵付きとはいえ、ゴーン本人に返却されていた。冷静に考えてみれば、裁判所が逃亡を暗に促していたようにさえみえる。

 いずれにせよ、日本の法治国家としての至らなさが明らかになり、ゴーンはまた、人権軽視の人質司法についても、国外で自由に指弾する機会も得た。法相なども、不法出国を避難し遺憾の意を表明しているが、負け犬の遠吠えに過ぎない。ゴーンは勝ったのだ。

 

*参考: 

www.sankei.com

mainichi.jp

jp.reuters.com

biz-journal.jp

news.yahoo.co.jp

jp.wsj.com

jbpress.ismedia.jp

www.aviationwire.jp

jp.reuters.com