ウラシマ・エフェクト

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チェコ軍の次期汎用・攻撃ヘリコプター「システムH-1」とは

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Twitterより

 チェコ共和国のルボミール・メトナル国防相は12月12日、米国防総省にて、ヘリコプターの購入契約に署名した。ヘリコプター12機に加えて、兵装システム、弾薬、人員のトレーニングが含まれる。チェコの公共放送の報道によると、146億コルナ(約690億円)の契約になるという。同国参謀本部は、これにより軍は装備の近代化と、現在使用するロシア製の装備への依存から脱却することができる、としている。

 ──という具合で、機種選定プロセスが5年に及んだ、チェコ軍の次期ヘリコプター導入計画は、UH-1YヴェノムとAH-1Zヴァイパーによる二機種で決着をみた。といっても、機種選定の結論自体は、すでに10月ごろ発表されていた。現用のMi-24/35は、攻撃ヘリでありながら兵員輸送ヘリを兼ねる仕様で、これを代替する後継機材として、汎用ヘリと攻撃ヘリのミックスが選択されたわけだ。このパッケージは「システムH-1」と名付けられているが、チェコ軍はそれを構成するヴェノム8機とヴァイパー4機を、2023年までに受領する予定だという。

 この計12機のヘリコプターの調達にあたって、うち30%以上の生産にチェコの国内産業が関与することになる、と国防相はコメントしている。さらに、選定と導入を正当化するためか、ロシアの技術から脱却できるというくだりが、機種の発表以来さかんに強調されている。NATOとの相互運用の文脈で、旧ソ連由来の兵器システムがすでに具体的な支障をきたしていたのかと勘繰りたくもなるも、あるいはたんなる外交上のアピールかもしれない。また、アメリカ側にとってより重要なのは、米国製兵器購入契約のシンボル的な側面だとリポーターが述べているが、これは外交、経済、安全保障といったさまざまな面で至当であろう。

 UH-1Yヴェノムに関して、チェコはどうやら米国以外では初のオペレイターとなる。UH-1の発展型の系譜につらなる双発の汎用ヘリコプターであって、兵員の空路侵入、負傷者の後送、人道支援および補給作戦に使用されるという。各種の機関銃が常時搭載可能のほか、ロケット弾ポッド用ステイションも備えている。

 ヴェノムが開発されたきっかけに、AH-1Zヴァイパーの開発計画があった。そこで意図されたのは両者のコンポーネントの共通化で、結果として8割以上の部品が共通のものとなっているが、これが今回の選定で評価された「システムH-1」のいわば肝である。部品の調達だけでなく、搭乗員・整備員の訓練など、利点は多岐にわたる。攻撃ヘリたるヴァイパーには、地上部隊の支援という本来の任務にくわえ、「航空偵察の指揮・管制、あるいは敵性地域における補給路の破壊」といった任務も計画に挙がっていると、機種選定委員のひとりは語る。こちらのほうは米海兵隊が運用中のほか、パキスタンバーレーンが発注していると報じられている。

 こういった経緯が了解されたものか、半年前には、ブラックホークがくるぞーという乗りで報じていたメディアも、打って変わって、ヴェノムとヴァイパーのCGを用意してインタヴューを行なうなど、契約を歓迎するムードである。いずれにしても、そのはしゃぎようが微笑ましい。

 ひるがえって日本は、「死に体」などとも伝え聞かれる陸自の戦闘ヘリ部隊を抱えている。防衛省が今後どのような判断をするのか、注目されるところであろう。米海兵隊の要求から生まれた「システムH-1」こそ、水陸両用作戦能力の増強に務める陸自に最も適しているようにも思えるのだが……汎用ヘリ(新多用途ヘリ)はすでにSUBARU製に決定され、XUH-2として防衛装備庁に納入されてしまっている。

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*参考:

„Jed“ a „Zmije“ ochrání české vojáky. Armáda kupuje od USA tucet vrtulníků Venom a Viper

ct24.ceskatelevizecz

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