ウラシマ・エフェクト

竜宮城から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。日欧ブログ……?

無念のミッドウェイと頭上の空中戦

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Zichovec sv. Václav 12°, photo by urashima-e

 土曜日の店は、空席がないほど混み合っていた。学生とおぼしき若い客でいっぱいだった。このチェコ共和国では、そろそろ履修申告も済み、新年度も軌道にのってきた侯なのだ。しかし、立ち飲みというのもわるくはない。いろいろなひとと話す機会になる。

 それはいいのだが、疲れる。男子の平均身長が180センチという国では、立ち飲みしているのも、ラグビーでいうセカンドロウの選手のようなやつが多い。2メートル越えもざらで、立ったまま真摯に会話しようとすると、こっちはちんちくりんの部類だから、頸が疲れるのだ。先方が、眼下のこちらに向かって話しかけてくれているうちはまだよいものの、身の丈2メートルの雲上人どうしで会話が始まると、頭上の空中戦に向かって性能の低劣な高射砲で割り込まんとするがごとき絶望的な戦局で、もう序盤から会話に参加する戦意が失せてしまうから、ちょとチェコ語ワカリマセンという顔をして、目の前のビールやエールに集中することになる。

 いわゆるIPAやNEIPAのラインナップが意外によい日だったから、呑んでしまった。それだから、記憶にある範囲の話になる。──日本対南アフリカ戦を控えたラグビーのことは、とうぜん話題にのぼった。というか、いきなりその話だった。

 日本では、ラグビー人気が急に沸いて大変なんじゃないのか、というので、たしかにそうだ、とは応えた。が、どうも誤解があるようだった。それで、日本ラグビーだって、きのうきょう出来ましたという話じゃないよ、ということを言った。死んだdědeček(祖父、お爺ちゃん)だって横浜の高校でやってたんだよ、つまり戦前の話なんだよ、とつづけると、とても意外そうだった。(日本のラグビーの歴史は長らく「19世紀末から」といわれてきたが、じつは幕末に起源があったことが、近年あきらかになっている。先日の記事を参照:【ラグビーW杯】 日本のラグビーの起源は実は幕末……謎を解いたイギリス人歴史家 - BBCニュース)。

 東京オリンピックの開催が来年の夏に迫るなか、マラソンの競技会場が北海道に移されるらしいよ、という話もした。カタールのマラソンで、40パーセントの参加選手が暑さで……というと、ああ、夜間にスタートが延期されたやつか、ホカイドーはヨーロッパ並みの気候らしいな、と、スポーツ好きで旅行好きの男はよくわかっているらしかった。

 ──オリンピック準備も、「船頭が多すぎる」件が皮肉られて久しいが、主催者の国際オリンピック委員会IOC)がカタールの一件に危機感を抱いて、早急に手を打ったのは理解できる。いっぽうで、小池百合子都知事の憤りもわかる。IOCと大会組織委員会が、それこそ雲上人然と頭越しの打ち合わせで決めてしまって、開催地・東京都の首長に知らせるのが最後になった次第で、当事者が蔑ろにされた形にみえる。これは、どこのどんな職場で起きても、誰かしらの怒りを引き起こすやり方であろう(チェコスロヴァキアにとっての典型例として、1938年のミュンヒェン会談が連想されるが、これはいまだに根に持たれている)。しかし、事柄の性質上、「都民ファースト」よりも、「アスリート・ファースト」のほうが分が良さげで、けっきょく小池知事はいったん矛を収めざるを得なかった。

 

 さて、穏やかな秋の日曜日。二日酔いもなかった。ラグビー・ワールドカップ南アフリカ戦の中継。だが、応援していたラグビー日本代表は負けてしまった。

 体格差・身長差を突かれながらも、頭上のボールにも喰らいつき、よく凌いではいたが、とりわけ消耗の目立つ後半戦ともなると、戦意喪失による戦線崩壊、まさに総崩れのていで、プール戦のときの勢いはもはやなかった。それだけ南アフリカ代表は精強であった。事前に注目されていた俊足フルバックのコルベだけでなく、スタンドオフのハンドレ・ポラードや、スクラムハーフのデ・クラークの活躍がとくに目立った。

 そういえば、ミッドウェイ海戦で撃沈された空母加賀が海底で発見されたというニュースも、数日前にあった。あの絶望的な戦いのなか、同じく帝国海軍の空母飛龍は、米空母ヨークタウンを相手に一矢報いたが、いっぽうブロッサムズは23点という大差をつけられて、一矢のトライも報いることなく撃沈された。無念であった。 

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*参考:

www3.nhk.or.jp

bunshun.jp

www3.nhk.or.jp

rugby-rp.com

 

*追記:

www.bbc.com