ウラシマ・エフェクト

竜宮から帰って驚いたこと。雑感、雑想、雑記。

祈りの燻色、春のルビー色。【麦酒】

 このところ、まいとしこの時期にいただいている旬のもの。ファッシングFasching(謝肉祭)、ファストナハトFastnacht(断食の夜、懺悔の火曜日)などとよばれる火曜日がすぎたらば、ファステンビーアだ。

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世界一のラオホ、とも。

 

 じつのところ、燻煙の香りが馥郁としすぎて、はじめは苦手だった。しかし慣れてしまえば、世界一との誉れも高いラオホビーア(燻煙ビール)は、この季節には欠かせなくなる。といっても、香りがそれほど鼻についたわけでもない。むしろ、絶妙なバランスで香りは抑制されている。いぶりがっこや鰹出汁のような風味を連想してしまうから、抵抗感があっただけなのだろう。要は、先入観のようなもの。

  ビールの都、バンベルク。知る人ぞ知る、ヘラー= ブロイ・トゥルム社のシュレンケルラ醸造所が醸す、名物の燻煙麦酒(ラオホビーア)。

 地元では、灰の水曜日から復活祭まで、つまり四旬節の約40日間のみ、樽出しで提供される。「ファステンビーア」たる所以である。

  ブナ材で燻煙された麦芽と、燻煙していない麦芽ブレンド。ダブル・デコクション。一週間の発酵ののち、2か月ほど低温で熟成させている。ホップは、Spalt SpalterとHallertauer Magnumの二種。

 液色はふすべ色。または濃い鳶色といえるも、この時期ようやく冬を脱しつつある日差しにかざせば、ルビー色にかがやく。