旧友に会った。かぞえてみたら、すくなくとも4年ぶりだった。
ブルーの照明が派手な、流行っているらしいバーでビールをのんだ。ベルギーの"Hoegaarden White"
ほんとうは「フーハールデン」と発音されるが、本場ベルギーやオランダ以外では、バーのひとにすら通じないとおもう。
──じゃ、送っていってやるよ。
──おい、呑んだだろ。
車の運転に際して、ビールくらいなら、この大陸では誰も目くじらは立てない。といっても、こっちの生命が関わることだから、酒気帯び運転厳禁というのはゆずれない。しかし、けっきょくのところこれまでも「郷に従って」生きてきたのだが……こういう逡巡も、いずれ自動運転が普及するまでのことだろう。
ひるがえって、祖国日本をおもうと、自動運転なんか、かんたんには普及させまい、という風潮になるのではないか。あの国は、無駄に規制が多い。
さいきんの報道をみるにつけ、日本では、既得権益の保全ばかりが盛んで、つぎつぎに規制ばかりが誕生し、あたらしい商品や利便性の高いサーヴィスが潰され、ひいては、あたらしい消費文化の芽が摘まれてゆく。若者の消費ばなれ──などというものがあるならば、それを促しているのはだれだろう。「低賃金」以外で。
ヨーロッパでは北欧を中心に以前からある、「自由なダウンロード」を人権の一部だと主張する政党も、日本ではまだ生まれていないみたいだ。
そんな保守的な日本ではむろん、大麻なんていったらば、とんでもないことなのだろう。
個人的には、大麻なんぞ地上から絶滅してしまっても、いっこうに構わない。要らない。
けれども、もし合法化されると、国家や社会におけるさまざまな問題の解決に、選択肢が増えることになる。
まず、国の財源になる。許認可制ないし免許制にして、審査をかっちりやることにすれば、役所の利権がまたひとつ増える。その過程で、敵対的な周辺の国や反社会的組織の資金源を断つこともできよう。また、合法的なソフトドラッグがあるのだから、わざわざ得体の知れない「危険ドラッグ」に手を出すひとも減るだろう。気分障害の患者や、自殺するひとも減るかもしれない。つまりは消極的な少子化対策たりうる。遺伝的にアルコールが嗜めないひとにとっては、気ばらしの手段ができる。煙草から乗り換えるひともあろう。すると、医療費や司法コストが削減できる。
あたらしいノーマル──新しい文化が、ふつうの文化、ひいては日常の一部になってゆく。時代はつねにうごいている。
参)「ヒューガルデン」こと「フーハールデン」も関連する記事: